ペリカンのスーベレーンを長年愛用している。グリーンのカラーである。一時期、書いていると手にインクがつくので、インク漏れを疑い、文房具屋のプロに見てみてもらったところ、とくに漏れていないとの診断を受けた。その後も、やはり手にインクがつくので、徹底的にお湯でペン軸などを洗ってみた。そうしたら、不思議なことに、インクが手につくことはなくなった。それまで、ティッシュやウェットティッシュでごしごしと軸やキャップの内側をいくら拭いても、インクは漏れ続けていたのに。
その修復は、新しい万年筆を買ったあとのことだった。新しく買ったのは同じペリカンのスーベレーンだが、一回り小さく、カラーもホワイトとゴールドである。美しい万年筆である。アマゾンでいくつかの出品者の中から、一番値段が安くなっていたものを購入した。
宅配され、その美しさに見とれつつ、インク瓶に射し込んでインクを吸入し、いざノートにペン先を滑らしてみると、太い。太すぎる。グリーンは細字タイプだが、その筆跡と比べると、とにかく太い。漢字を書くと、隙間が潰れてしまう。そう、中字タイプだったのである。他の出品者より1000円安かったのでこれを選んだのだが、安さにばかり目が向いて、重要なペン先の太さについて思いが及ばなかった。
幸い、使い続けるうちに、その太さにも慣れた。ただ、やはりインクの減りは、グリーンより早い。グリーンは一回り大きいので、それだけインクの貯蔵量も多いのだろうが。
ただ、新しい万年筆は、ホワイトとゴールドのコントラストが、本当に美しく、所有欲を満たしてくれる。今、私の机の上には、グリーンとホワイト・ゴールドの2本のスーベレーンがある。これらに目を向けるたび、愛着が湧いてくるのである。