フランス各地で暴動が起きている。移民問題についてはかねてからフランス人の先生から聞いていた。なんでも植民地時代に虐げられたのだから、移民の人はフランス人に対して犯罪的な行為も容認されると思っているという。
先生の出身地マルセイユでは、地域の移民のギャングが幅を利かせていて、彼らと住民のフランス人の間には、なにか事件を目撃しても、警察には通報しない、その代わり、住民には危害を加えないという暗黙あるいは公然の取り決めがあったという。ギャングは武装し、警察ですら入れない地域があるらしい。平和ボケした日本の感覚からいえば映画のような話で(実際にこのテーマを扱った映画もある)にわかに信じられないが、今フランスで起きていることも移民問題が背景にあるらしいので、本当だったのだという気がしている。
国家は領土で規定されるが、人種や民族はオーバーラップしているケースは、むしろ当たり前になっているのだろう。島国に住んでいると実感がわかないが、欧州や北米の移民の問題はかねてから報道されている。たびたび人種間の軋轢を示す事件が起こるが、今回のフランスの件は、移民の間に溜まったマグマのような怒りが噴出しているのだろうか。
フランス語の先生自体は、そうした地域で育ちながら、レイシストにはならなかった。移民の事情はわからなくもない。右翼が台頭するのもやむを得ない面もあるのだろうと思う。だが、お互いそんなに敵視することなく共存できないものだろうかとも思う。結局、人間はみないつか死ぬのだし、短い人生を暴力だの差別だので埋め尽くす暇はないと思うのだが。いまだに戦争が大好きな人もいるし、甘い考えではあるのだろうが、なんだかやりきれない気持ちになる。