公園の池に沿って歩いていた。いつもは、鳥を眺めるのが好きなのだが、今回は足元に視線が引きつけられた。おたまじゃくしの大行進に遭遇したからである。黒い大群が、池の端に沿ってゆっくり進んでいる。一匹一匹は尻尾をフリフリ、可愛く泳いでいるが、それが何千、何万という数で、ぱっと見たところ、黒い海藻が池沿いに延々と続いているようにみえる。
温暖化の影響で、こんなにも増殖したのだろうか?この公園で何度かカエルをみかけたことはあるが、これだけの数のおたまじゃくしがみんな成長してカエルになったら、カエルの王国と化してしまう。もちろん、成長するまえに鳥や魚などの外的に食べられてしまうこともあるだろうし、何らかの原因で、途中で息絶えてしまうこともあるのだろう。ちょうど人間の精子のすべてが卵子に到達できないように。
それとも、気候変動により、カエルの王国が誕生するのだろうか。毎朝毎晩、ゲコゲコゲコゲコと鳴き声が鳴り止まないようになるのだろうか。それは異様な世界である。気温が上がると生態系も変化する。米を北海道で育てられるようになったというのも、その一例だ。昨夏は、池の表面を藻がびっしりと埋める現象に出くわした。そんな現象はいままでなかったのに、気温が上昇したために、そうなったのだという。陽光が遮られることで、水面下の動植物にも影響があるだろう。
カエルが増えたら、フランスに輸出すればいいと考える人が出てくるかもしれない。ま、日本でカエルが異常増殖するなら、他の国でも同じことが起こるだろうから、日本だけがカエルの輸出国になれるとは限らない。そもそも、輸送は、生きたままなのか、冷凍するのか。おたまじゃくしの大行列をみて、そんなことを考える人がどれだけいるのであろうか。