がんばっていれば、何をしてもいいと考える人がいる。仕事は一所懸命にやる。しかし、度を越して、「自分はこれだけがんばっているのだから、自分の思い通りに物事が進むはずだ」と信じ込んでいるやつほど厄介な人間はいない。実際にとても頑張って働いているので、その質がどうこうはあまり顧みられず、周囲は何も言えなくなる。自分の思い通りになれば、ご満悦、そうでなければブーブー不満たらたらになる。
こういう人間と、同じチームになると最悪である。自分以外に人はいないというかのごとく振る舞う。がんばって成果も上げているわけだから、上司からの受けもいい。ただ、一緒に働く仲間のことは踏み台としか思っておらず、陰で嫌がらせをしたりする面も持ち合わせている。上司の前では、もういつもペコペコして従順を誓うが、会社内で権力がない人に対しては、たとえそれが年上だろうとも、軽んじる。
サラリーマン社会では、こういう人間が上に行くのだ。ずるく、賢いやつがね。そういうものだし、それを不合理だと文句を言うのは負け犬の遠吠えである。ただ、こういう人間を遠目にみているのは、人間模様を観察するようで楽しくさえあるが、まさにそういうやつと同じチームに放り込まれ、目の敵にされると、これはもう一刻も早く逃げ出したくなる状況である。上司はこちらの言い分など聞いてはくれない。こっちが仕事でがんばろうとも、向こうの事情が優先される。
まあ、でもそれが組織で働くということだ。ある場所ではこういうやつがいるし、別の場所ではパワハラをしてくるやつがいたり、いじめてくるやつがいるだろう。組織にはいい面もあるが、このように悪い面も確かに存在する。いずれにせよ、人間を知る場としては、いい環境だと言わざるをえない。人間は機械ではないから、複雑である。みんないずれ死んでしまう運命なんだが、よくそこまで権力闘争に熱中できるよな、と感心する気持ちにもなる。