新NISA制度が2024年から始まるから、これを機に投資を始めようと促す動画が多い。銀行に預金していても、ゼロに近い利子しかつかないのに対し、全世界株だの米国株だのに投資すれば、浮き沈みはあるにせよ、長期的には数%の利益が得られる、と喧伝されている。
あんまりにもたびたびそういう情報にさらされているので、始めないとまずいのかな、という思いもしているが、結局、投資で得た利益をどう使えるのか、よくわからない。長期運用を前提としたインデックス投資では、複利効果を得るために、利益は元本に上乗せして運用するのが基本らしい。こうなると、仮に利益が出て数字上は資産が増えていっても、それを買い物や支払いに使えるわけではない。使えなくはないが、複利効果はなくなる。ここらへんが、感覚的によくわからないので、一歩を踏み出せずにいる。
労働収入を得続けることが、こうした投資の前提なのだろう。投資した金額については、10年単位で運用する。その間の生活費は、労働収入から得る。そしてリタイアした暁には、運用していた資産が大きく増えている。それを現金化して、取り崩しながら生きていく、ということになるのだろう。
FIREという、不労所得だけで生活する状態の人たちは、つまり、利益が出たら、それを換金して生活費に充てているということなのだろうか。そうなると、もう複利効果は見込めない。運用益だけで生活費を賄えるようになるには、投資額が相当な規模になる。それこそ5000万円から億単位の数字になってくる。それを貯めるまでは、せっせと投資信託に入金しないといけない。
とにかく、出口戦略がみえないから、なかなか手が出せない。10億円運用すれば、年数千万円の利益が出て、セレブな生活が送れますよ、と主張する人もいるが、それはやはり、もう複利効果は捨てて、運用益だけで暮らしていく、という世界なのだろう。しかしいつも利益が出るとは限らないだろう。そうなると、暴落時は収入なし、ということになるのだろうか?それとも、現金も持っておく、というスタンスなのだろうか。ここらへんがはっきりしない。まあ、10億円を運用するなんてことが起こりうるとも思えないが。1億円だって無理なのだから。急になにかで大儲けでもしない限りはね。
結局、貯金を増やすやり方が、一番現実的で、感覚的にもしっくりくる。物価高や円安で不安はなくはないけどね。最近は自炊も始めたので、できるだけ支出を抑え、現金を増やしたい。投資をするにしても、生活防衛資金も欠かせないからね。
ただ、一番大事なのは、稼げる自分をつくるということなのかもしれない。節約して貯金しつつ、スキルアップして収入を増やす。どんな状況でも稼げる力を身につければ、株が暴落しようがインフレになろうが、生きていけるだろう。まあ、そういうすごい力をつけることは、それこそ節約や投資よりも難しいことなのかもしれないけど。努力にも複利効果があるというし、節約して貯金を増やしつつ、自己研鑽に励み、稼ぐ力をつけていく、というのがいちばんしっくりくるかな。
まあ、それだけでは立ち行かなくなるから、これだけ投資の話題が多いんだろうけどね。結局、投資には手を出さず、そういう世界を知らず、一生を終えるのかもしれない。最悪、老後貧乏になったら、っ生活保護に頼ればいいんじゃないかという考えも浮かんでくる。どの人も、かならず終活しなければならないからね。
儲けることばかり考えてもいいけど、限りある人生で、どう生きたいか、が重要である。まあ答えの出ない命題ではあるのだけどね。
貯金自体も、額が増えていくにつれて、考え方も変わってくるかもしれない。いつかあの世に行くのだし、細かいことを考えても仕方ない、と刹那的に生きることがいいとも思わない。経済的な心配は、もっとも強いストレスの一つだからね。かといって、金があれば幸福かというと、そうとも言い切れないし。結局、生きているだけで幸福、と思える状態を目指すのが、人生というものなのかもしれないな。