体調を崩して以来、はじめて仕事相手と会食をした。誘われたときは大丈夫かな、まだ早いのではと心配だった。
とくに夜の酒席が嫌である。タバコとコーヒーをやめ、睡眠の質が改善していきているのに、アルコールを摂取したらまた眠りの質が低下し、症状が悪化するんじゃないかと身構えてしまう。なにかと飲みに行こうとする人が多いから、サラリーマン社会にはやっぱり適合できないな、酒を飲める体質であればいいのだろうけど下戸だし、誘わないでほしいというのが本音なんだけどな、とか思いながら当日まで悶々として過ごした。
その日が来た。まずは午前中に仕事をすませ、その後にランチに誘われた。訪問先の会社からタクシーで移動、高級中華料理屋に入った。回るテーブルである。回さなかったけれども。そこで舌鼓を打ちつつ会話をしていると、少しずつ症状が出てきた。めまいと息苦しさである。ただ、こういう場に身を置き、発作が出ないという経験を重ねることが治癒につながるので、気にせず話と食事に集中し、その場を乗り切った。トータル2時間以上の会合も大丈夫だった。前日に映画館で映画鑑賞もしたくらいだから、そんなに心配していなかったけれども。食後のコーヒーを勧められたときにカフェインは摂らないようにしているんですと断ったら変な空気が流れたが仕方ない。
同日夜は、別の会社の人と会食である。場所は「すしざんまい」。もちろんアルコールは摂取できない。最近知ったことだがウールン茶にはカフェインが入っているのでダメ。緑茶も同様である。だから水を頼んだ。この人には病気の経緯を説明しているから、気を使わずにすんで助かった。このひとは最初から日本酒を飲んでいた。そういえば昼の会食でもビールを勧められた。結局ノンアルコールビールにしたが、どうしてどいつもこいつも酒を飲みたがるのか。脳が萎縮するというし、身体には害であるのに。飲みたいならいくらでも飲めばいいが、人にも押し付けるのはやめましょう。
ここでも強めの症状が出た。心臓のあたりが苦しい感じがしてね。でも脈を測ったら異常はみられなかったので、いつもの症状だと思って気にせず過ごした。身体が勝手に動きもしたが、まあ人間は動くものだからね。
すしざんまいでは好きなものを好きなだけ食べさせてもらい、おみやげの寿司まで持たされた。店内でかなり食べたから断ればよかったが、そこで主張できるほど強くもなく、言われるまま包みを持たされた。誘ってもらえるのはありがたい一方、まだ病み上がりだし、しんどい面もあった。いくら病気と主張しても信じてもらえないところもある。とにかく、サラリーマンはしんどい。かといって会社勤めをやめて生計が立てられるわけでもない。困ったものである。