アゴタ・クリストフの3部作の小説(邦題は「悪童日記」など)の原書を4、5回読んで、ある程度筋や描写を理解できるようになったので、別のフランス語で書かれた小説にも挑戦したいと思い、先日、アルベール・カミュの「異邦人」、エミール・ゾラの「居酒屋」「ナナ」を購入した。ゾラの2作は邦訳で昔読んだことがある。
しかし、いざ読み始めると、これがほとんど歯が立たない。疲れていて集中できなかったのかもしれないが、これでは多読式の勉強にも適さないのではないかと落胆した。先日、書店を訪れた際に、買おうとして買わなかった本がある。それが児童書の「プチ・ニコラ」だ。パラパラとページをめくってみると、どうやら今のレベルでも読みこなせそうだったから、買わずにおいた。しかし、多読をするには、そういう自分に合った書籍を選ぶべきである。理解できる本をたくさん読むことで、言語への理解も深まるわけだから。
しかし、外国語で読書するということは、本によって、わかるわからないの程度の差はあれど、結局は継続が鍵になる。続けているうちに、理解度が少しずつ上がっていくものであって、最初から完璧に読みたいというマインドで本に向かうのは、挫折を招くだけである。だから気長に、気楽に、読書を愉しめばいい。その姿勢を忘れてしまっていた。
ネットで「プチ・ニコラ」を買おうかと調べていたら、製作者のストーリーを描いたというアニメ映画が上映中とのこと。で、さっそく映画館に行ってみた。パニック症的なところがあり、多くの患者が映画館も行けないと言っていたからどうなるかと思ったが、後半に不随意運動が出て少し不安になっただけで、最後までストーリを追うことができた。むしろ、スクリーンの光が強くて、体内時計を狂わせるんじゃないかの心配のほうが強かった。夜の部の上映だったからね。
とにかく、フランス語は思うように上達しない。リスニングはさっぱりだし。慣れ親しんだ先生の話は聞き取れるが、初めて話すフランス人の言葉はほとんど聞き取れない。現地で不自由なくコミュニケーションを取れるレベルに達するには、まだまだ多くの時間を要しそうである。